エントウィッスル、ザ・ベーシスト

 今度はロックのベースの話です。BSを見ていたら、ザ・フーの10年位前のライブ映像が流れていた。そこで印象的だったのは、ボーカルのロジャー・ダルトリーでもなく、ギターのピート・タウンゼントでもなく、ベースのジョン・エントウィッスルでした。派手なアクションのロジャーやピートとは違い、淡々と演奏するエントウィッスルのベースがすごい。ロックのベースではクリームのジャック・ブルースが有名だが、このエントウィッスルはリード・ギターならぬリード・ベースというか、ベース・ギタリストというか。たしかザ・フーの代表曲「マイ・ジェネレーション」でも、タウンゼントのギターがリズム・カッティングに徹しているのに対し、エントウィッスルのベースがメロディーを奏でている。僕が見たライブの映像でも弦を弾く右手の指の動きがロックのベースとは思えないので、驚きました。
 このロックの超絶技巧のベーシスト・エントウィッスルはサンダー・フィンガーとよばれていたらしい。過去形で書いたのは、2002年、ザ・フーの北米ツアー前日に急死した。コカインによる心臓発作が死因であるようなのもロックのミュージシャンの正しい?最後なのかなと。享年57才。写真はソロ・アルバムAn Ox Tale。動き回るロジャーとピートに対して、泰然としてベースを弾くベーシスト・エントウィッスルは"Ox"(牡牛)と呼ばれていたらしい。アルバムタイトルは「オックス・テール」(牛のしっぽの煮込み)にかけた「オックスの物語」という意味の様です。