タップの魅力

 『ホワイト・ナイツ/白夜』(1985)を眺めていて、印象的だったのは、グレゴリー・ハインズのタップでした。音楽をかけながら体を動かし、タップの鋲を付けた靴を履いて本格的に踊り出すシーンがとても素敵です。
 監督は『愛と青春の旅立ち』(1982)のテイラー・ハックフォード。映画の中にヘレン・ミレンが出てきて、確かこの二人は夫婦だったと思っていたら、この映画がきっかけで結婚したようでした。この映画のロシア人の役がよく似合っているヘレン・ミレンは父親がロシアン人なので納得。
 実際に亡命したバレー・ダンサーのミハイル・バリシニコフが映画でもロシアからアメリカに亡命する役です。その亡命を阻止するソ連の大佐にイエジー・スコリモフスキーポーランドの監督で僕らの世代では『早春』(1971)が記憶に残っています。ポール・マッカートニーの恋人だったジェーン・アッシャーに恋する年下の少年の妄想が面白く描かれていました。少年を演じたジョン・モルダー・ブラウンは前年ツルゲーネフ原作の『初恋』でやはり年上の女性(ドミニク・サンダ)に憧れる少年を演じていました。
 さてこの映画監督のスコリモフスキーはクローネンバーグ監督の『イースタン・プロミス』(2007)でも、監督の余技を超えた演技を見せていました。