黒人選手のニュー・フェイス

 昨日全豪オープンの4回戦でセリーナ・ウィリアムズを破ったのが、同じアメリカの黒人選手スローン・スティーブンス、19歳。セリーナは足の調子が悪く、試合中にも背中に激痛が走ったとはいえ、スティーブンスの物怖じしない、小気味いいプレイは次代のスターを予感させるものでした。
 セリーナはすでにグランド・スラム15回優勝で歴代6位、31才なのでそろそろ次世代に譲ってもいいいかな。1997年にお姉さんのヴィーナスをウィンブルドンで見た時は、ビーズを巻き込んだ髪の手足の長い17歳の少女でした。その時に優勝したのはヴィーナスと同い年のマルティナ・ヒンギス、史上最年少の16歳(まだ誕生日前だった)。その翌年からウィリアムズ姉妹の躍進が始まり、2000年代のパワー・テニスの中心だった。その影響もありヒンギスの活躍期間は短かった。僕が2001年フラッシング・メドウ(全米オープン)で見た時は、セリーナとの準決勝でセリーナの圧勝でした。
 さて黒人女性選手の事が知りたくて少し調べました。1997年のウィンブルドンではマクニールという選手のプレイを見ました。その頃はジーナ・ガリソンという少しセリーナ似のがっちりした選手が活躍していた記憶もあります。
 もっと前には1956年から58年にかけてアリシアギブソンという選手が英・米・仏で5勝した事も初めて知りました。
 男性に話を移すと、アーサー・アッシュが1968年から76年にかけて3勝しています。僕がヒンギス対セリーナ戦を見たのも2万5千人収容と言う世界最大のアーサー・アッシュ・スタジアムでした。アッシュは持病の心臓手術の際にかかったエイズにより49才で夭折。
 アメリカの男性黒人選手は他にあまりいないですね。バスケット、フットボール、野球に行ってしまうのでしょうか。
 アメリカ以外ではフランス人が多い。ヤニック・ノアが1983年全仏でスエーデンのマッツ・ビランデルを破って優勝。ノアは父親がカメルーン出身、母親がフランス人、今は何と歌手で活躍しているとか。現在活躍のツォンガ、モンフィスもフランス。昨日惜しくもフェデラーに敗れたツォンガは、父親がコンゴ出身、母親がフランス人。「テニス界のモハメッド・アリ」と呼ばれてその独特な雰囲気が人気を博しています。モンフィスはツォンガと同じ26歳。両親は西インド諸島の出身です。スポーツにも現れるエスニシティ、もう少し言うなら旧宗主国フランスと旧植民地との歴史と現在。
 写真はスローン・スティーブンスです。