就活とゼミ

 去年だろうか、新聞で就活による欠席で4年のゼミが成立しないと言う記事を読んだ時は、まだ他人事だった。今年の3年の状況を見ると、かなり深刻だ。学生のゼミへの取り組み、こちらのゼミ生への指導にも問題はあるのだろうけれど、不況が続き、就職部もといキャリア支援センターも就職率をあげようと、学生をいい職場に送り込もうと懸命なのも理解できる。
 しかし大学の教育を疎かにして、就職率を上げても本末転倒というものだ。学科会議でも問題になり、学部長がセンターに話に行ったらしい。僕もセンターから頼まれている3年生ゼミへの個人面談の結果を持って行った時に、就職セミナーのスケジュールについて聞いてみると、同じセミナーを複数回開催して、学生は必修の授業などとぶつからないセミナーを選ぶ事ができるという回答だった。
 しかし、後で学生に聞くと、1回しか開催しないセミナーもあったり、スケジュールの発表が遅かったりで、学生も調整できないと事もありそうだ。また両方とも必修にぶつかったらゼミの方を休む事もありそう。ゼミが軽く見られているのか、ゼミの担当者の方が就活に関して理解があると読まれているのか、両方の可能性がありそうな気がする。
 どうも大学のキャリア支援センターも、意図的に教育を疎かにしているという事ないだろうが、教育について配慮する余裕がないような気がする。そのようなセンターの気分に煽られてと言うか、3年生は不安と危機感から、地に足が付かない。大学も学生も不況=就職難という意識を共有しているようだが、これもまた一種の共同幻想のような気がする。もう少し大学の教育と卒業後の職業について、状況をきちんと整理した上での対応を大学として考えなければならない。