鼓舞する

 またベースの話です。やはり僕ほぼ同年のスタンリー・クラーク。70年代初頭のチック・コーリアの『リターン・トゥ・フォーエバー』で登場。その後『スクール・デイズ』などのリーダー作もあります。この『スクール・デイズ』の中の「ライフ・イズ・ジャスト・ア・ゲーム」でのカデンツァでの圧倒的なプレイについては以前触れました。
 今回はまたファラオ・サンダースの『ブラック・ユニティ』でのプレイです。これは中古CDで5千円近くしました。7千円とか1万円以上のものもあるのですが、僕が買う(買える)のは一応5千円以内。
 さて1971年作の本作はBlack Unity1曲のみ37分。最初からランニング・ベースがそんなに複雑ではないけれど魅力的なフレーズで演奏を引っ張ります。しばらくして琴の音。そう言えば当時はマッコイ・タイナーのLPでも琴を使っていましたね。Fly with WindかSaharaでした。
 ファラオ以外のメンバーは、サックスのカルロス・ガーネット、トランペットのマーヴィン・ピーターソン、ドラムスはノーマン・コナーズ。そしてピアノはいつものジョー・ボナー。かなりスピリチュアル・ジャズの常連です。
 そう、実はベースはダブルでもう一人がセシル・マクビー。最近は山下洋輔とも組んでしましたが、チャールズ・トリバーとスタンリー・カゥエルのグループ、ミュージック・インクのご意見番のような渋くて、カッコイイベーシストです。このCecile McBeeという名前の入った紙バッグを持つ若い女性を見かけますが、何かブランド名に使われたような。
 この二人のベースが演奏を引っ張ります。ダブル・ベースと言うと、一人のベースがソロ楽器となって、もう一つのベースがリズムを刻むという役割か、二人のベーシストが互いにソロと伴奏を代わりながら演奏するタイプがあります。前者は鈴木勲と井野信義か水橋孝、後者がペデルセンサム・ジョーンズ
 しかしこのクラークとマクビーはどのようにベースの役割を分担しているんだろうか。とにかくこの二人のベースがぐいぐいと演奏を引っ張り、ソロを鼓舞している。
 実はというか読んで気づくかもしれませんが、このブログはアップした後、時々訂正したり追加したりしています。読む立場になると写真のない項目が続くと少し物足りないなと感じたりするので、後から良さそうな写真を探して掲載したり。確かによく聴くとダブル・ベース(二人のベーシスト)だと分かり、その効果がとてもあるのだなと再確認しました。今でも毎日聞いています。