小心者?

 火曜日5時間目の「英語文化演習」は2年次以上の通年4単位科目。今年は13名で発表をする担当の学生はけっこうよく調べてくる。それ以外の学生は予習はしてくるが、発表に対しての質問は少ない。以前あるセミナーでアメリカの院生はちゃんと質問をする。いい質問やコメントは参加者としての義務と言うか権利と言うか身についているという印象を持った。
 それで時々学生にその事をいうのだけれど、なかなか浸透しない。それでも一度途中でリタイアして再履修しているある4年生の学生は質問をしてくれる。
 今回は「負けた戦争の記憶」というベトナム戦争を扱った章のスプリングスティーンの2曲。その1曲のGalveston Bayはベトナム難民が地元のアメリカ人漁師に排斥されようとする物語だ。これはまさに短編小説と呼んでいいようなストーリーと描写を持った曲です。アルバムはGhost of Tom Jodeといい『怒りの葡萄』の主人公をモチーフとしたものです。これについては以前触れたような記憶が蘇ってきた。
 このテーマはアメリカにいた時のルイ・マルキャンディス・バーゲンと結婚していた)が撮った『アラモ・ベイ』でも描かれていましたね。今では結構有名になったエド・ハリスエイミー・マディガンと夫婦役で共演して結婚するに至った作品です。
 さてベトナム難民と地元漁師の軋轢を描いたこの曲は、最後には和解と言うか赦しに至る物語ですが、ベトナム難民は機械工をして貯めた金でエビ漁の船を買います。質問をした学生はベトナムにおけるエビ漁の話をしてこれがよく分からない?けれど面白かったです。
 タイトルの小心者は、この授業では久しぶりにパソコンの接続でトラブったのですが、後からシステムの故障で自分のせいではないと分かってほっとした事についてです。面白い事に書いているうちに、力点が別の事に移って行って、しかもその方が当初意図したテーマよりもいい(ま、たいした事はないですが)時もありますね。
 写真は映画のスティルですが、舞台がテキサスで、クランが登場する点でも、スプリングスティーンはこの映画にインスパイアされて詞を書いたと言っていいくらい似ていますね。