終わりと始まり

 昨日の朝日新聞(夕刊)の「文芸時評」はロシア・ポーランド文学の沼野充義さんによるポーランドの詩人シンボルスカさんを追悼するものでした。
 この88歳で亡くなったノーベル文学賞を受賞した東欧の女性詩人の事は初めて知りました。でもその詩風の紹介だけでなく、幾つかの詩句が印象的だったので、今日ジュンク堂で『終わりと始まり』(未知谷、1997年初版、2911年5刷)を買ってきました。
 印象に残ったのは「眺めとの別れ」と題する詩の冒頭、「またやってきたからといって/春を恨んだりしない」でした。悲しみの中では「緑の萌える」事そのものが、残酷なコントラストとなるという事だろうか。
 日常を描きつつ、その中に潜む真理を平明に、アイロニカルに深く穿って行ったのだろうとも思いつつ、1970〜80年代の日本の現代詩にも共通するような気がしました。