Rolling Stone雑考

 授業でディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」を読みました。以前間違って?「イッツ・オールライト・マ」を取り上げて大変な目にあったので、今回は比較的読みやすくて、内容も音楽的に濃いこの曲に。
 授業の最初に「転石苔をも生ぜず」って知っている?と聞くと、日本文化の学生は正確に回答をしてくれました。でもこれが元々英語の諺である事を知っていたかは不明。"A Rolling Stone Gathers No Moss"は'moss'を肯定的にとらえ、移動をあまり良しとしない保守的社会の英・日では「いつも仕事を変えていては、何も業績は生まれないよ」という解釈になるし、アメリカのような仕事も住まいもそして家族さえも変え続ける社会では「動き続けていると変な垢が付かなくていい」となる。
 でアメリカのディランは"Like a Rolling Stone"において、盛者必衰の理を歌っている。そしてこの曲が音楽誌『ローリング・ストーン』の名前の由来となるが、"Rolling Stone"自体はディランの前に、マディ・ウォーターズが1948年に同名の曲を作り、61年にブライアン・ジョーンズがそれにインスパイアされて「ローリング・ストーン」というバンドを作ったのだから、音楽史的にもサブカル的にも面白いです。
 写真はディランのドキュメンタリ"No Direction Home"のサウンド・トラックのジャケットです。このタイトルは「ライク・ア・ローリング・ストーン」に出てくるリフレーンの一部でもあります。