フランス文学の発表

 3日(金)のゼミの中間報告は『星の王子様』と『トイ・ストーリー』について。
 初めて英米文化以外の発表を認めてしまいました。でも大学の案内では英米文化学科の学ぶ領域は欧米文化とまで拡大しているので許容範囲かもしれません。
 例によって発表の内容は悪くない。『星の王子様』の作者の友人への献辞もポイントの一つになるかもしれない。アメリカ在住のサン=テグジュペリナチス支配下のフランスにいるユダヤ人の友人へ宛てたメッセージが、この作品をロング・セラーにしているのかも知れない。でも児童文学を超えた作品というのは、子供にとっては面白くないかも。
 作者の他の作品について質問が出たが答えられない。テキストの周辺(作者の履歴、他の作品、批評の歴史)などについては、作品そのものをきちんと読んでから取り組みなさいとは言っているのですが、他の作品も当該作品読解の手がかりになりえるので、読んでおくようにと、偉そうに矛盾した事をいってしまう、中途半端な教師です。
 『トイ・ストーリー』の方は、デズニー・アニメの人気にかげりが出てきた1990年代半ばのピクサーという会社をディズニーが子会社化して作ったアニメ(途中からCG、そしてフルCG)が人気を博した点、そして主人公や悪役不在のキャラクターなど面白い。これを同時代のアメリカ社会や文化の推移とリンクできればいいとアドバイスをしました。
 もともとアニメは実写で描けないものを描くので、動物やおもちゃ、異界の生物などが登場人物になる。玩具の中に自分は人間だと思い込んでいるのがいて、それって『ブレード・ランナー』にもかすかにつながるかなとコメントするが、如何せん、『ブレード・ランナー』を知らない。それを説明してもいいけれど、そのような背景の知識を知らない事を前提に教えなければならないという今更な覚悟をする必要がありそうです。