シェルブールの後

 ジャック・ドミュ監督とミシェル・ルグランの素晴らしいコラボレーションの結果である『シェルブールの雨傘』を見たのは1965年だろうか。セリフはすべて歌で表現される踊りの無いミュージカルでした。戦争を背景にした悲恋物語です。たぶん当時の僕はその美しさと悲しさに物足りない印象を持ったと思います。
 中学生の僕は当時母に連れられて『ハムレット』(ロシア版)や『ウエストサイド物語』、そして『シェルブールの雨傘』など、学校の仲間とは行かないような映画を見に行きました。後から知った事をつなぎ合わせると、母はどうも辛い時に僕を誘って映画を見たかったような・・・60近くなっても、生きていれば90をこえた母親の事が気になります。
 で実は『シェルブールの雨傘』と同じ監督・音楽・主演で3年後に作った『ロシュフォールの恋人たち』の明るさの方が気に入っています。主演はカトリーヌ・ドヌーヴと姉のフランソワーズ・ドレアック。ドレアックはベルモンドと共演した『リオの男』とトリュフォー監督の『柔らかい肌』でスターになりましたが、25歳で事故死しています。
 その他ジーン・ケリーやジョージチャキリスなどのスターが出演していました。フランス南西部の港町ロシュフォール(軍港としても有名?)を舞台に、若者や中年の男女の恋模様が能天気?に描かれて屈託なく見る事が出来ます。そのサウンド・トラックを昨日も大音量で聞いていました。明るい歌はビッグバンドの演奏によるジャジーでフランス的、しっとりした歌はシャンソン的でかつジャズの味付けも入っていると言うお得感のある曲が満載のアルバムです。
 その冒頭の「キャラバンの到着」は有名らしくスウイング・ガールズでも演奏していました。
 http://www.youtube.com/watch?v=pyA9Gp1kzTA&feature=fvwrel