声の魅力

 朝コーヒーを呑みながらテレビを見ていたら、『テキーラ・サンライズ』(1990)をやっていました。メル・ギブソン(麻薬の売人)、カート・ラッセルメル・ギブソンの親友で、麻薬捜査官)、そして二人に絡むミシェル・ファイファーが主演ですが、メキシコからの麻薬捜査官(実は麻薬密売の大物)をラウル・ジュリアが演じていて懐かしかった。彼は1994年54歳で亡くなったプエルト・リコ出身の俳優です。その特徴は低い声とぎょろ目。声は俳優の重要な資質で、マヌエル・プイグ原作の『蜘蛛女のキス』(1985、ヘクトール・バベンコ監督)ではゲイのモリーナ(ウイリアム・ハート、この役でアカデミー賞受賞)に刑務所で愛される政治犯を演じてる。
 もう一人もっと地味(失礼)で声に魅力のあるミゲル・フェラーという俳優がいる。『ロボコップ』(1987)や『トラフィック』(2000)が印象的だった。この変わった苗字も映画ファンなら記憶にあると思うが、父親はホセ・フェラーで『赤い風車』(1952、ジョン・ヒューストン監督)でロートレックを演じ、『アラビアのロレンス』(1962)で捕まえたロレンスをいたぶるトルコ軍のベイ将軍を演じた。彼もプエルト・リコ出身ですが、3番目の奥さんとの間の息子がミゲル。しかもミゲルの母親は有名なジャズ・シンガーローズマリー・クルーニー。いまや大スターのジョージ・クルーニーは甥。という事はミゲル・フェラージョージ・クルーニーの従兄という事になります。
 最初に戻って、『テキーラ・サンライズ』のメル・ギブソン、少しうっとうしく(演技も、私生活も)なりましたが、この時はまだ30代前半で顔もすっきりして、しかもなかなか低く響くいい声をしていました。