疾走するピアノ

 昨日研究仲間とヘルゲ・リエンとe.s.t.の話題になったので、ずっと気になっていたお気に入りの、少し新しめのピアノ・トリオについてグループ名と作品名を備忘録的に書き留めておきます。
 ヘルゲ・リエンはノルウェーのピアニストでSpiral Circleがいい。というかそれしか持っていません。"Quiet NOw"や"Take Five"というスタンダードも演奏していますが、オリジナルの"No Mountains"がいいです。ヨーロッパやな北欧のピアニストによくあるメロディーを聞かせると言うよりは、ロジカルな展開が面白い。他のアルバム"What Are You Doing the Rest of Your Life?"(長いタイトルですが、ミシェル・ルグランの名曲です)は在庫なし、"To the Little Radio"は中古4,000円で手が出ない。
 さて次はスエーデンのエスビョン・スヴェンソンのピアノ・トリオ、e.s.t.またはE.S.T.です。いずれの表記もエスビョン・スヴェンソン・トリオの頭文字。まず"Seven days of Falling"のタイトル曲。このトリオ、最近のピアノ・トリオはそうですが、ピアノ〜ベース〜ドラムスとソロを回していくのではなく、ほぼ最初から最後まで一体となってメロディーとソロを演奏し続ける。手元にあるアルバムは"Good Morning Susie Soho","Viaticum", "Strange Place for Snow","Somewhere Else Before"。何故か5枚も持っていました。しかしスエーデンの荒法師というか貴公子エスビョン・スヴェンソンのピアノの新作はもうでません。昨年スキューバ・ダイビングの事故で亡くなったのです。
 次はフランスのPrysm。ピアノはピエール・デ・べスマン。アルバムは"Time", "On Tour"。やはりソロ/アンサンブルの切れ目がなく疾走していく3人です。
 同じフランスのYaron Herman。べスマンと同様ユダヤ系の様ですね。ユダヤ系はクラッシクではかなり多いけれど。このヘルマンはそれほど主流ピアノのスタイルから逸脱しません。その分、物足りないかも。アルバムは"A Time for Everything"。
 基本的な好みは、エバンス〜コリア/キースの流れの中で、ヨアヒム・キューンとリッチー・バイラークの間の路線です。つまりある程度自由に、フリーに行くけれど、完全にフリー・ジャズではないタイプ。時にフリーになるヨアヒム・キューン(スティーブではありません)のトリオはベースのクラークとドラムスのダニエル・ユメールも素晴らしいです。
 さてドイツではWalter Langトリオでしょうか。これはイタリアのEnrico Pieranunziと同様、メロディアスではあるけれど浮遊するようなメロディ+リズムの一体感と持続性が特徴だと思います。アルバムは"Beatles Song Book"はいまいち。"Romantische StraBe"がおススメです。
 アメリカに行くと、ブラッド・メルドーやランディ・ポーターもいますが、荒法師派が好きな人にお勧めThe Bad Plus。アルバムは"Give"と"Prog"。タイトルもいたってそっけないけれど、演奏もシンプルで、荒々しく、律動的です。