ボッシュとメカニック

 BSでチャールズ・ブロンソンの『メカニック』(1972)を見る。タイトルのThe Mechanicは「機械工」の意味とともに、アメリカのスラングで「殺し屋」の意味にもなる。ブロンソン演じるビショップは組織の殺し屋。殺しの準備のためのターゲットの行動を探るための撮影やライフルの操作など、たしかに機械工的な部分もあるかなと。
 50歳のベテラン殺し屋の弟子となるのが27歳のジャン=マイケル・ヴィンセント。ラッシー・シリーズにも子役で出ていて、この『メカニック』の後に『ビッグ・ウェンズデイ』でスターになった。ここではクールとも無表情といえる態度で師のビショップの技術を学び、最後には組織の命令もあって師を裏切る。が、その裏切りの可能性についてはビショップも予想したようで・・・
 ブロンソンは『メカニック』の監督マイケル・ウイナーと『狼よさらば』(1974、原題Death Wish)でスターになり、この作品は3作目まで作られ、その自警団的行動が社会・文化的にも論じられるようになりました。
 僕のブロンソン体験?はジョン・スタージェス監督の『荒野の七人』(1960)や『大脱走』(1963)よりも、アラン・ドロンと共演した『さらば友よ』(1968)です。30代のドロンと40代のブロンソンがその肉体美?を競うシーンが印象に残っています。確か高校3年の2学期の定期試験が終わってから、多分封切ではなく名画座というか2番館で見ました。その後1970年ルネ・クレマン監督の『雨の訪問者』でもグッド・バッド・ガイ的な独特の存在感を示していました。
 ボッシュとの関係について言い忘れていました。ビショップは自分の家にボッシュの絵を飾って眺めているシーンが何回も出てきます。多分人間と罪とかその報いとかに関して哲学的に考察するタイプの殺し屋の様です。その意味でこの殺し屋はどうも殺しのテクニックも含めて中途半端に芸術的な繊細な性格の様で、今見るとそのテンポも含めてあまりお勧めは出来ないかも。