文明の中の自然

 アトリウムについての本があります。萩野紀一郎『アメリカのアトリウム』(建築巡礼33、丸善)です。僕はこのアトリウムという空間は都市文化という文明の中における自然(またはそれに近い装置)だと思います。もちろん、アトリウムのすべてが植物のような自然やそれに相当するものを備えている訳ではありませんが。
 
 でもこのアトリウム、ずいぶんと一般的になりましたね。以前入試委員として高校訪問した時に行った母校(札幌西高)も新しい建物にはアトリウムがありましたし、大通り7丁目のホテルにもあります。この公共空間としてのはアトリウムは、住宅におけるポーチや縁側の役割もありはしないでしょうか。外と内の中間的空間と役割。アトリウムには建物の外から来た人を内側の人が迎える場でもありそうですし、建物のさらに中まで入らず、アトリウムだけ使用する僕らのような外部の人間もいます。