高橋さんの本

 今度はアメリカ研究仲間の出した『篠路烈々布素人芝居』についてです。まず書名もいいです。"Shinoro Rtsturetsupu sirouto shibai"。篠路と素人と芝居のS音の頭韻が効いています。S音って爽やかな語感がある。さらにアイヌ語らしき地名の漢字の当て方が、激しさと勢いを感じさせてくれます。
 昨日北海学園支部の研究談話会をして、この本について著者の高橋克依さんに話してもらいました。司会はわざわざ高知から来てくれた山下さん。演劇が専門なので司会をお願いしたら快諾してくれて、奥さん同伴で見えました。
 高橋さんは参加者全員に本をくれて、それを資料として、話してくれました。事情を知っている数少ない人からの聞き取りや、遺族などを尋ねたり、フィールワークの本道をいく研究態度にとても好感が持て、その熱意が伝わってきました。
 本州から移住してきた人々が娯楽と共同体維持のために始めた素人歌舞伎。新劇でも喜劇でもなく、歌舞伎という演劇ジャンルが、当時の人たちにストリーや役柄、決めゼリフ、所作などがよく知られていて、しかもある種型による演技やせりふが意外と素人にも真似できる。それが北海道の札幌の篠路にあったとはとても意外でした。こんな演劇があって、それをこんな風に調べて本にするなんてとても素敵だと思いました。画期的な北海道文化論でもあり、あちこちから講師などに引っ張られているようです。うちでも「北海道学」の中の「北海道学特別講義」にでもお呼びしたいくらいです。
 さて会の後は「ミツヤ」で懇親会。持参したジングル・モルト(グレン・モーランジ)が好評ですぐに空いてしまいました。