ワイルド・レンジ

 『遥かなる旅路』』(2006)、『ロンサム・ダブ』と並んでロバート・デュバルの西部劇三部作となる『ワイルド・レンジ』』(2003)を見る。
  ロバート・デュバルを最初に見たのはマックィーンの『ブリット』(1968)でのタクシー運転手というチョイ役だった。その時すでに37歳ですからすごい遅咲き。その後『ゴッドファーザー』でのドンの相談役トム・ヘーゲン、同じくコッポラ監督の『地獄の黙示録』でのキルディア大佐などで主役級の役者になった。さかのぼれば『アラバマ物語』』(1962)における不気味な隣人で最後にジェムを助けるブーがロバート・デュバルだったのです。
 さて『遥かなる旅路』に比べるとケビン・コスナー監督主演の『ワイルド・レンジ』は少し落ちるかな。まずタイトルのOpen Rangeというのが1880年代のlong drive(カウボーイが数か月にわたって数千頭の牛の群れをもよりの鉄道の駅まで追っていく旅)を可能にする政府所有の無料の草原である開放牧場の事を言うらしい。という事で邦題は例によって意味がないことになります。ただワイルドという言葉で喚起する西部のイメージはありますが。
 さてロバート・デュバルはカウボーイのボスでケビン・コスナーは3人いる部下の筆頭という役柄です。『遥かなる旅路』のロバート・デュバルは結婚をしないで老境を迎えたけれど、『ワイルド・レンジ』では妻子をペストで亡くしたという設定。でケビン・コスナー南北戦争で拳銃の腕を買われて活躍したのだけれど、多くの殺害のトラウマで悩んでいる。
 西部の風景が西部劇の主役のでもあるが、ここでも自然が素晴らしい。ストーリーも役者の演技も悪くないのだが、最後の銃撃戦と、ケビン・コスナーアネット・ベニングの会話の場面がくどいのが難点です。ここをすっきりと仕上げないところが主演も兼ねる監督の問題点かもしれない。語りすぎる欠点が映画の印象を悪くしているんですね、残念。
 トミー・リー・ジョーンズと共演した『ロンサム・ダブ』の方はまだ日本語字幕版がないようです。