物語が物語を生み出す

 昨日は午前中90分くらいテニスをして、午後「芙蓉城」で坦々麺(ビール、ザーサイ、甕出し紹興酒付き)を食した後、研究室で教務委員会の資料作り。夕方「スポーツ館」でラケットと物色した後、狸小路7丁目の「ノイエ・ガーテン」(New Gardenという意味のドイツ料理のお店)で大学の教職員テニス同好会の懇親会に出席。この日は大学の創立記念日でいつも春季テニス大会をしています。でも朝から夜まで拘束される行事にはお付き合いできないので、午後は仕事で夜の飲み会だけ参加。
 数種のドイツ・ビールと数種のスピリッツ(サクランボや桃などの)とドイツ料理を堪能しました。しかも2次会まであって今朝は二日酔いです。
 なかなかタイトルの話にたどりつかないのですが、夕方と夜の授業の「英米文学」の余談です。今日は「アメリカ文学とピューリタニズム」というテーマで、取り上げる映画は『クルーシブル』と『ペイルライダー』。
 この『クルーシブル』で前に女流監督で取り上げた原作者のアーサー・ミラーの娘レベッカ・ミラーと主演のダニエル・デイ・ルイスが出会い結婚したようです。クリント・イーストウッドの『ペイルライダー』は題名そのものが『ヨハネの黙示録』に記される第四の封印が解かれた時に現れる第四の騎士、青白い馬(蒼ざめた馬)に乗った「死」の事です。黄泉を従え、疫病や飢饉を使って人間を死に至らしめるんです。
 でまだ本題にたどりつかない。言いたかったのは『クルーシブル』に出てくる黒人女性魔女ティテュバの物語が語られる『わたしはティチューバ――セイラムの黒人魔女』(マリーズ・コンデ、新水社、1998年)の事でした。フランス女性文学大賞受賞作したコンデの創造するティチューバは、魔女になり切る事もできず、奴隷反乱に加担しても裏切にあい、スーパー・ヒーロー(ヒロイン?)にならない点が興味深い。『緋文字』の主人公ヘスター・プリンも登場してメタ・フィクションでもある。
 さらに『ジェーン・エア』(シャーロット・ブロンテ)の主人公ジェーン・エアと結ばれるロチェスターの最初の妻バ―サ・メイソン。彼女は狂気とアルコールにむしばまれたクレオール(植民地生まれの白人)です。この報われない登場人物を主人公とするジーン・リースの『サルガッソーの広い海』にも言及しようと思っています。