大学の単位の不思議

 大学で何単位取得しないと卒業できなとい言う事に学生は必死になるが、単位そのものの意味や成り立ちについてはあまり知らないし、関心もないようだ。ま、教員ももしかしたら事務の人も知らないかも知れない。
 実は偉そうに言う僕も関心はあったが正確には知らなかった。ネットでも様々な視点からの説明はなされているが完全ではない。この問題についてはウイキペディアが信用できるかも。
 職務柄?こういう問題についてのコメントが4月からは多くなるかも知れない。
 さて1単位とは大学設置基準第21条により「45時間の学修を必要とする内容」と規定されています。先ず疑問。この「45時間」という数字はどこから来たのだろうか。由来は推測らしいですが、1週間の労働時間から来ています。1日8時間×5日+5時間(土曜日は半ドン)。勉強を労働時間数に換算するというのが少し違和感がありますが。
 次はもっと不思議です。1単位取得するためには45時間の学習が必要とはけっこう大変ですが、次から大幅に緩和されます。つまり45時間の中身は15時間(大学での授業)と30時間(予習や復習などの自学自習)に分けられ、実際には3分の1の15時間が問題とされるからです。
 とすると半期につき1単位=1時間 × 15週授業となり、語学や体育以外の多くの科目は半期2単位ですから、2単位=2時間 × 15週授業となります。でも実際には2時間は90分で実施されています。これは学校で使われている単位時間とは、1つの授業に当てられている時間を表す単位であって、直近の根拠としては、「専修学校」が新しい学校制度として創設された昭和51年の「学校教育法の一部を改正する法律等の施行について」という文書です。それには「1単位時間は50分を原則とし、教育上支障のない場合には45分でも差し支えないものであること」とあり、1時間=45分、つまり2時間=90分でもいいと学校の単位時間では解釈されている訳です。このあたり規則も多分にに人間的で幅を持たせていて、運営する側は緩い方に合わせている訳です。
 で最後です。単位認定時間の3分の2である30時間の予習や復習などの自学自習がほっておいて、今は中央教育審議会(いわゆる中教審ですね)の大学分科会の「学士課程教育の構築に向けて」(平成20年)で定期試験をいれないで15回の授業を確保する事が謳われています。そして多くの大学は、認証評価や学部・学科の申請、助成金などのために、文科省のご通達を順守しているようです。