想い出の現代詩

「甃のうへ」

 あはれ花びらながれ / をみなごに花びらながれ
 をみなごしめやかに語らひあゆみ / うららかの跫音空にながれ
をりふしに瞳をあげて / 翳りなきみ寺の春をすぎゆくなり
み寺の甍みどりにうるほひ / 廂々に
                  『測量船』(昭和5年)

三好達治のこの詩を高校生(ロウニン?)の時に国語の受験参考書で読んでから、詩について関心を持ったのは40年近く前の事だ。同じ参考書にあったのが、谷川俊太郎の『二十億光年の孤独』(昭和27年)。
 その後大学に入って、教養部の時にジャズの雑誌で知ったのが西脇順三郎。西脇の弟子の慶応大学教授鍵谷幸信がジャズに関心を持って少々付焼刃の、でもジャズ評論としては異色のエッセイを『スイング・ジャーナル』に書いて、そこに引用された西脇順三郎の『アンバルワーリア』に惹かれたのが、英文学への傾倒の始まりだったような。