後の先

 相変わらず内田樹さんの本を読んでいるが、最近長い間読み続けているのが『死と身体―コミュニケーションの磁場』。その中で「後の先」という合気道の言葉が出てくる。相手が動き出すよりも遅れて起動しながら、相手の動きを制する。これをテニスの動きに置き換えると、アンティシペーションに近いかも知れない。上手いプレーヤーは相手が動き出す瞬間に相手がボールを打ち返す場所に行く。自分かパートナー(ダブルスの場合)が打ったボールにより相手がどのように打ち返すか予測して動く事ができる。これはもちろん相手がその予測の範囲内にいるレベルの場合にのみ当てはまるのだが。
 で、ネットでこの言葉を調べていると、教育の現場でも使える事が分かる。つまり学生にまず話させて、その内容を教育的に修正してあげる。教員は学生に対して「先の先」を取れるが、それでは一方的な教えになってしまい、学びの契機を奪い取ってしまう事になる。
 この考え方が武道だけでなく、テニスにも応用できないかと思っていたけれど、教育の現場にも活用できるとは。