負けた戦争の記憶

 今週の授業は"How To Remember the Lost War"と題して、CCRの"Who'll Stop the Rain?"とビリー・ジョエルの"Goodnight,Saigon"を読みます。
 クリーデンス・クリアウォーター・りヴァイヴァルの方は1907年のCosmo’s Factory収録。ビリー・ジョエルの方のアルバムThe Nylon Curtainは1982年。
 と言う事は、「誰が雨をとめるの?」はまだベトナム戦争継続中の反戦歌(と決めつけるのには少し抵抗があるけれど)で、「さよならサイゴン」の方は、ベトナムの敗戦を文学や映画で語りだした頃だと思う。
 ジョエルの方は少し社会メッセージをうちだしたポップ・シンガーのベトナム物。でもヘリコプターのローターの音(ベトナム戦争の象徴の一つ)で始まる、戦場に初めて降りて行く若者の緊張感をうまく表現している。歌詞もメロディーも歌唱も悪くない。訳は100%理解可能。
 しかしアメリカン・ロックの、しかもサン・フランシスコ出身でありながら、南部っぽいサウンドでならし、68年から69年にかけてのSuzie Q、I Put A Spell On You、Proud Mary、Bad Moon Risingなどの畳みかけるようなヒットの連作は忘れがたい。特にジョン・フォガティのだみ声はスワンプ・ロックによく似合う。
 しかしその歌詞はシンプルでありがら、またシンプルだからこそ、ストーリー性に乏しく、表現が分かりずらい部分もある。でもそのようなシンプルな歌詞と力強いヴォーカルと激しい演奏がCCRの真骨頂だろう。CCRがよく使う「雨」は禍々しいものの象徴だろうか。