見張り塔からずっと

 今日の英語文化演習はBob Dylanの All along the Watchtower(1968)とCurtis MayfieldのPeople Get Ready(1964) 。これはSlow Train Comingと名付けたゴスペルを扱った章に入れています。章名はディランの自作ゴスペルで作ったアルバム名を借りました。ゴスペルはブルースと並ぶ黒人音楽の2大ルーツで、内容(コンテンツ)が救いに関われば、音楽のスタイルは何でもあり。R&Bはもちろん、キャロル・キングの「君の友だち」、S&Gの「明日に架ける橋」なども黒人ゴスペル・グループが取り上げています。
 アルバム"John Welsley harding"に入っている「見張り塔からずっと」は聖書に基づいたな寓話的な物語として解釈できます。具体的には旧約聖書の「イザヤ書」に出てくる堕落したバビロンが神によって崩壊された事を告げる二人の騎手に擬される人物が登場します。「遠くで山猫がうなり声をあげ、風が吠え始める」という不気味さの演出も面白い。
Outside in the distance / A wild cat did growl
Two riders were approachin / And the wind began to howl
 その前は道化と泥棒による世界の混乱を憂う会話があり、秩序の埒外にいる二人がシェークスピア的人物であるのも興味深い。『リア王』の道化がそう。裸の王様に鋭い辛辣な真実を教える役割です。そしてその事によって不興を買い遠ざけられるが、最後に王様のそばにいて面倒を見るのはその道化だった(と思います)。
 There must be some kind of way out of here / Said the joker to the thief
 There's too much confusion, I can't get no relief.
 演奏は、グレートフル・デッド、ジミ・ヘンドリックスザ・バンド、デイブ・メイソンなどがあり、それぞれギターの特徴が出ていて面白い。ジェリー・ガルシオ、ロビー・ロバートソンもいいが、個人的にはジミのノイズとメロディの歌わせ方が好き。画像はアニメ化されたものから。