裁判員制度の評決

 日曜日の午後は「たかじんのそこまで言って委員会」を時々見ている。あまり上品な番組とは言えないが話題のトピックに関する意見が面白く聞ける。かみさんとの話題作りもあるし。で今日は司法改革についてがテーマで元判事の井上薫氏という面白い人物も出ていた。彼の登場の前か後に司会の辛坊さんが裁判員制度の評決は結局は裁判官の判断で決まるように言っていたので、気になって調べてみると間違っているようだ。彼は裁判官3名が無罪を主張し。裁判員5名が有罪を主張しても、無罪になるからという例をあげていたが、確かにこの例で有罪にならないけれど、無罪にもならない。逆に裁判官3名が有罪を主張しても、裁判員6名(5名でもいい)が無罪を主張した場合も同様。。
 根拠は裁判員法67条1項「・・・評議における裁判員の関与する判断は、・・・構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見による。」 少々曖昧な条文を読むと、評決の要件は裁判官1名以上と裁判員1名以上を含む過半数になります。そして上記のような場合はもう少し審議して評決のやり直しでしょう。
それにしても法律の条文のややこしさというか分かりずらい事。明らかに部外者を排除しようとしているとしか思えない悪文。今回のようにそれほど複雑でない場合でも、理解しがたく、複数の解釈を生み出すような文。それは改訂を予想して曖昧になっているという理由も理解できるのだが。
 でもこの悪文の泥濘(ちょっとオーバーか)の中で、論理の道筋を見つけると少しだけ満足感がある。何か作り手が意図的に見えずらくしている謎を解いたような。とは言え、裁判員制度って機能するのだろうか。日本にもかつて陪審員制度があり、うまくいかなくて中止になった、つまりまだ廃止になっていないと読んだ記憶がある。アメリカの陪審員制度だって司法に市民が参加と言う建前だが、悪しき民主主義、ポピュリズムの気配もあるし。司法改革は、司法試験についても裁判員制度についても、何か改革の本筋ではなく、表面的な改革に終始しているような気がする。これも極めて日本的な制度改革なんですね。