しみじみがテレビで

 2年前に仲間と出した『しみじみ読むアメリカ文学』(松柏社)の短評がテレビで流れるよと言うメールが編集を担当した人から来た。それでテレビを見ると今村盾夫先生が3冊の短評対象の1冊に『しみじみ』を取りあげてくれた。メインは『若者はみな悲しい』(光文社古典新訳文庫、2008)だった。All the Sad Young Menという原題が既訳短編集では『すべて悲しき若者たち』。直訳調の先行訳に対して、新訳「若者はみな悲しい」は語順を変えて馴染みやすい。これって結構重要です。英語の語順のままでは堅苦しく、日本語としてちょっと変な場合が多い。でも昔の翻訳って正確に訳す事に精一杯で、語感とかセンスとか言っている余裕がなかったと思う。
 で、『しみじみ』で僕が選んで訳したマラマッドの「夏の読書」は訳が4種類あり、参考にしつつ、自分の訳を心がけた。でもボーシュの「二人の聖職者」は初訳なので、正確に分かりやすく訳すことが第一で、うまい訳なんてのは二の次だったような気がする。何か遠い昔の事のような。その時にけっこう戦後アメリカの短編に目を通したので、アメリカの短編ってこうなんだと思うとか、これは是非皆にしってもらいたい作品なんだ、というような話をしようと思うがどうなる事か。