「資本主義はどこへ」

 朝日新聞の朝刊に佐伯啓思(京大教授、、『アメリカニズムの終焉』など)が「資本主義はどこへ」というコーナーで「脱成長で文化を楽しめ」という談話を発表している。

 アメリカ型資本主義がモノが充足した70年代以降製造から金融に投資先をシフトしバブルを起こし続ける事で経済発展を主導せざるを得なくなっていたという。
 無限に利益を求め拡張し続ける資本主義の不安定さをどのように安定させるか。それは欧州型の資本主義のように公共的なものについて厳しく規制すべきだ。つまり社会的インフラ(自然環境・食糧・医療・教育・資源)と金融システムなどそれがなくては生活できないものを確保する。
 その上でグローバルからローカルへ、国内市場中心の低成長を目指すべきだという主張。そして物や物質的豊かさに頼らずに、自国の伝統や理念に基づき文化を味わい楽しむような暮らしを目指すべきだ。

 と勝手にまとめてみたがほぼ僕も同意見。世の中では不況を脱するために、何か景気回復が至上命題のように唱えられるが、目先の選挙に票がほしい政治家でも、短期的な利益しか見えない経済人でもないので、低成長・脱成長で十分だと思う。
 グローバルからローカルへも、世界から国内市場に目を向け、さらに地方の地産・地消を旨とする、身の丈に合った経済活動をすべき時期なのだろう。自然環境を守り、限られたエネルギーを無駄遣いしない生活。でも目一杯現在の豊かさを享受している自分も一方ではいるので・・・
 でも僕の関心のあるアメリカ60年代のカウンター・カルチャー(対抗文化)って、物質的な繁栄を実現したアメリカにおいて、満たされたはずの白人の若者、繁栄から取り残された少数民族の人々が反乱をおこしたはずだ。それはどうなったのだろう。それに対する佐伯さんの回答は自由と民主主義という政治理念を具体的に実現するものが経済的豊かさ=アメリカン・ドリームでそれを供給し続けなければならないのだとする。うーん、まだ経済的豊かさを配分されたいないアメリカ人に物質的豊かさでは人間は満たされないのですよって言っても説得されないか。