In the Ghetto

 I come correct and I won’t look back’cause it ain’t where you’re from, it’s where

You’re at / Even the (ghetto)
 「俺は正しい道をやってきたから振り返る事はない/どこから来たのではなく、どこにいるかが大事なのだから /ゲットーにいたとしても

 僕の好きな80年代に活躍した硬派のラッパー、エリックB&ラキムの"In the Ghetto"で表明されるゲットーでの悲惨さに押しつぶされる事なく、出自ではなく現在地が重要であるというメッセージは、DJ経験者でもあるポール・ギルロイの『スモール・アクト』の第8章のタイトルに使われている。ラキムの低音の呪文のように唱えられるライムってけっこう知識人に受けている。英語や米文化、もしくは米文学のテキストとしての使えます。でも実際に使うとけっこう大変です、経験によると。

 でもこれってフーゴーの定義する完璧な人=「全世界を異郷と思える」と一致する。越境せざるを得ない人々の覚悟と平静さについて感嘆する気持ちがこのブログの通奏低音かも知れない。ユダヤ人の亡命哲学者アドルノが言ったとされる「書く事が生きる事」を敷衍すれば、故郷喪失者もしくはどこも故郷と思えない人々にとって定住先の文化を脱構築する事が生きる事になるのだと思う。