Bass Culture

ヒップホップはNYのブロンクスで生まれたとされるが、ジャマイカのDJ+サウンド・マシーンを持ち込んだクール・ハークが重要人物の一人だし、KRS-ONEもジャマイカ出身、スクラッチを普及させ最初のラップ「メッセージ」を送り出したグランドマスター・フラッシュはバルバドス出身などカリブの影響が強い。でもそれって「ヒップホップという亀裂」(『ポストモダン都市ニューヨーク』2001年)で前項のP・ギルロイを引用しながら自分で言っていたんだね?
 でレゲエとヒップホップをつなぐような存在にジャマイカ生まれのダブ詩人リントン・グェシ・ジョンソンがいる。第3作目の『ベース・カルチャー』(1980年)でポエトリー・リーディングともラップとも違う、何ともダウン・ツー・アースな、レイドバックした語り+ビート=サウンドを展開する。5曲目の"Inglan Is a Bitch"は「イギリスってくそったれだ」という罵倒だが悠々とした迫らない怒りが面白い。また文化の基層へ下りて行くイメージを表現したユーモラスなジャケットが実にいい。実は音楽そのものよりも好きだったりして?