To Have and Have Notの勉強

 今年最後の研究会が12月8日にあります。ちょうど親戚の法要が昼前にありますが、昼食時はビールを飲まないように我慢します。
 作品はヘミングウェイの1937年の4作目の長編To Have and Have Not。翻訳は三笠書房版、佐伯彰一訳『持つと持たざると』です。原作はキンドル版で買いましたが、やはり紙がいいのでペーパーで買い直す。11×18センチで180頁の長編にしては短い。長めの中編か。
 問題は翻訳の古本を読むと、のどに悪い事です。あきらめようと思いましたが、マスクをしてよめば大丈夫でした。
 例によって映画化の『脱出』(1944年)を思い出しつつ。監督のハワード・ホークスはハンティングや釣りの趣味はヘミングウェイと共通していますが、作家としてはフォークナーと親しく、『脱出』と『三つ数えろ』も一緒に作業をしています。
 さて映画の方は主演がボガートなので『カサブランカ』(1942年)』と意識した改変になっています。正義感はあるがちょっとすね者の主人公が亡命する活動家を助けるメロ・ドラマ。
 しかし原作はもっと社会的なテーマを少し複雑な構成と語りの方法で描いています。主人公のハリー・モーガンも死んでしまいます。そして発表ではchonch(コンク)という植民地の地元民が「持たざる者」の代表として描かれる。
 1930年代の小説では普通なのですが、黒人や中国人への差別語も普通にというか頻繁に出て来ます。ルーズベルト大統領の時代のフロリダのキーウエストが舞台で、バティスト政権のキューバハバナとの密輸(ものだけでなく人も)が大きな問題として描かれます。