ブログの書き方

話題と自分の関心が一致するテーマにつきると思います。話題性があっても、自分の関心が薄いと書けない。書いてもいいものにならない。では、どんな風にブログのテーマを見つけて書いていくか。そんなものは誰も読みたくないだろうか。実はこれも重要なんですね。読み手を意識する。独りよがりに終わらない普遍性(のようなもの)を頭の隅に置いて書きます。
 最近では書かなかったけれど、『キャロル』(2015年)という映画。何が僕の書きたいと言う気持ちをかきたてるか。
 2008年12月に書いた50年代アメリカ東部の郊外を描いた『エデンより彼方に』のトッド・へインズの新作というつながりから始まります。主演はケイト・ブランシェットルーニー・マーラで、かつレズビアンの物語で、原作があのパトリシア・ハイスミス。ここで僕の書きたいと言う気持ちが一気に強くなります。
太陽がいっぱい』の、『見知らぬ乗客』のハイスミスです。でもこのような有名な映画の原作者と言うレッテルがこの女流作家にとっては頸木にも。1921年生まれのハイスミスは、バーナード・カレッジの在学中に短篇小説の執筆をはじめ、長篇第1作が『見知らぬ乗客』(Strangers on the Train, 1950)。そして百貨店のアルバイト中に見かけた女性にヒントを得て書いた人妻と女性店員の恋愛を描いたThe Price of Salt(1952年)は、クレア・モーガン名義で出版され、レズビアン人たちの人気を呼びベストセラーとなります。
このThe Price of Saltを元にしたのが『キャロル』(原題:Carol)。カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、LGBTクィアをテーマにした映画に与えられるクィア・パルム賞を受賞し、ルーニー・マーラが女優賞を受賞しました。
 で、ここで作品の内容紹介よりも、原作者の作家としての経歴の中でこのThe Price of Salt(1952年)が占める位置の方が気になります。結果的には単なる映画評よりは、映画と文学と社会・文化的な問題(同性愛)を横断するような内容になる訳です(?)。
『見知らぬ乗客』(1950年)がヒッチコックにより映画化され、長篇第3作『太陽がいっぱい』もヒット映画となり、ハイスミスは人気作家となります。『太陽がいっぱい』に登場したトム・リプリーの物語は、のちにシリーズ化され、トム・リプリーアラン・ドロンをはじめ、デニス・ホッパージョン・マルコビッチマット・デイモン、ハリー・ペッパーによって演じられます。
ハイスミス自身は1963年からはヨーロッパへ移り住み晩年まで暮らしていました。何かアメリカには合わない感じが分かります。日本での翻訳は、1990年代に河出文庫や扶桑社ミステリー文庫から未訳本が多数刊行され、単なる映画の原作者ではない、ミステリーと純文学?の境界を横断する作家として認知されたような気がします。そうかだから気になる作家なんですね。
という風にブログを書いていくというお話でした。実はこの後に『キャロル』についての話にならないといけないのかも。