今度はソウル・ジャズ

どっちかというと70年代のフリーフォーム寄りのジャズが好きなのですが、今回紹介するような乗りのいい音楽も好きです。さて”Compared to What" は Gene McDanielsは黒人男性の歌手・作曲家の作品。で以下のカバーでやっと売れたようです。このマクダニエルスのもう一つ有名な"Feel Like Makin' Love"の方も、Roberta Flackもレコードでヒットしました。
“Compared to What"を有名にした演奏は、1969年スイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルのライブで、 Les McCann (piano and vocals) とEddie Harris (tenor saxophone) が演奏。収録したアルバムSwiss Movementは真面目な?ジャズ・ファンはあまり聞かないかも。
ピアノのレス・マッキャンはゆっくりとしたテーマの演奏からはじめます。実はだいぶ後の演奏を聴くと、こちらのほうがテンポが速い。たぶん後者は、60代の時の演奏だと思いますが、年を取ると遅くなるのではなく速い演奏になる例は他にもあります。ビル・エバンスの定番の曲の演奏のテンポも、晩年(といっても50代でしたが)は速くなっていった。それは恐らく、力やためがなくなるので前のめりになるのだと思います。 
しかし69年の演奏はマッキャンは34歳。映像を見ても、ドラムのアップ・テンポの設定の中でも、ゆったりとテーマからアドリブに入り、徐々に盛り上げていく余裕は演奏技術と共に、長尺のライブに耐えられる体力とも関係していると思いました。そして盛り上がる時の爆発力もまた若いから可能だと思います。
歌詞はニクソン大統領とベトナム戦争を批判した内容で、この曲は(マーティン・)スコセッシ監督の『カジノ』(1995)にも使われていました。スコセッシはザ・バンド、ディラン、ストーンズの映画をつくっている音楽ファンですが、『グッド・フェローズ』(1990)でもロックの名曲など過剰に使う意図はあったんでしょうが、少しうるさい。
https://www.youtube.com/watch?v=Jv0fnSBf0Do