締切に追われる?!

 そんな事はありえないのですが、でも『ノワール講義』の書評と、『週刊読書人』の原稿を書かねば。昨年の支部大会の特別講演に来て頂いた諏訪部浩一氏(東大)の『ノワール講義』(研究社、2014)の書評をアメリカ学会の編集委員会から頼まれて書いています。東大の先生が『Web英語青年』で『マルタの鷹』を講じたので有名なりましたが、実際原作よりも面白いくらいの『「マルタの鷹」講義』(研究社、2012)でしたが、その余勢をかってではありませんが、『ノワール講義』も面白いです。
 各章の論文は、初出をみると学術誌への英文投稿だったり、学会の発表だったり、翻訳の解説だったりしますが、全体としてハードボイルド小説≒ノワール小説への愛と知識と分析能力が相まって読みごたえがあります。大衆文化に関心があり、かつ専門的な研究と分析・考察能力があるとこんな本が書けるんですね。執筆者と僕は20歳も年が離れているので、ただ若き俊英を仰ぎ見ると言う事で済みますが、年が近い、しかもポピュラー・カルチャーにも目配りをしている同年代の研究者なら、もっと違う感情(対抗意識?)を持つのも理解できます。
 で歴史ある書評新聞『週刊読書人』の方は、アメリカ文学会の全国大会開催校に依頼される原稿です。そう言えば9年前の2005年にも依頼されて書いたような記憶がかすかに。これについても、『ノワール講義』に刺激され、書評では書けなかった事を書こうかと目論んでいます。