スウェ―デンからイギリスへ

 年末に耽溺した?はずのミステリ三昧が終わらない。これは明らかに仕事からの逃避なのですが。
 年末は文庫翻訳ミステリで第1位となったヘニング・マンケルの『背後の足音』(創元推理文庫)からクルト・ヴァランダ―刑事シリーズ8作(11冊上下巻が多い)を読破し、序に?イギリスでケネス・ブラナーがヴァランダ―刑事を演じているテレビのDVDも研究費で?買いました。これはまだ未見。
 その後ずっと読もうとしてこなかった『ミレニアム』にも手を付けてしまい、ミレニアム3まで6冊を読んでしまいました。けっこう面白い。でも作者が亡くなっているのでミカエルとリスベット(ドラゴン・タトゥーの女)のその後についてはもう読めない。
 さらにスウェ―デン・ミステリーの新しい風の一人と目されるカミラ・レックバリのエリカ&パトリック事件簿その1『氷姫』からその2『説教師』、その3『悪童』まで読みました。これは女性作家エリカと1作目『氷姫』で再会した幼馴染の刑事パトリックが2作目で結婚し、その後もエリカの家族(妹、母親)との関係が重要なファクターとなって行きます。そのお3の最後ではエリカの妹が夫を殺したという電話で終わるので次が読みたいですが、あいにくスウェ―デン語では原作を買っても・・・
 その間、マイケル・コナリーの「リンカーン弁護士」2作目『真鍮の評決』も読みました。これはコナリーの代表シリーズ、ハリー・ボッシュも登場してリンカーン弁護士ミッキー・ハラーと協力して事件解決に当たります。しかもこの二人異母兄弟である事が最後に分かります。この作品はシリーズ1作目の翻訳が出た時、2作目が読みたくて原作のペーパーですでに読んでいたので、当たり前というか既読感あり。
 続いてウィリアム・クルーガーの『希望の記憶』(講談社文庫)を読み、このインディアンの血を引くミネソタの保安官のシリーズ6作を後から1作目に遡って読む羽目になり、何か不思議な読後感でした。似たような北アメリカの辺境地での法執行官ものとしてはC.J.ボックスのワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケットのシリーズ。これも講談社文庫から4冊翻訳あり。未翻訳のペーパーを3冊買いましたが積読状態です。いずれも主人公は事件を解決しつつも自分の家族の問題(妻と子供たち)が重要なテーマとなっています。
 そして最後にイギリスの女流作家ミネット・ウォルターズの『女彫刻家』。これがずっと読み控えると言うか、手を出したくなかったと言うか、でも読んでみると面白かったです。今は『蛇の形』を読んでいる最中です。スウェ―デン・ミステリーでは女性への暴力が通底する主題となっていましたが、このイギリスの女流作家は結婚している女性の夫への愛情はあるのだけれど冷めた見方がイギリス女性の現実的な思考がうかがえます。アメリカのフェミニズムの様に声高に主張はしないのだけれど・・ 
ミネット・ウォルターズ63歳の48歳の時の写真。もちろん逮捕された時の写真のパロディです。