ウィンブルドン雑感

 ウィンブルドンが終わりました。男子のフェデラーナダルの時代は終わりつつあるようです。特にフェデラーは2003年に21歳でウィンブルドンを制してから、2006年にナダルが19歳で優勝してからも芝の王者だった。最初はフェデラーの無表情なプレイスタイルがあまり好きになれなかったけれど、これはプレイに集中しているからだと理解して違う印象に変わった。特にボールを打つ前の一見脱力してみえる態度は武道でもあらゆる攻撃に対して準備する態勢として共通するような気がする。ジャズ・ピアノの山下洋輔が書いていたのだけれど、コルトレーンのバンドで有名なドラマーのエルビン・ジョーンズが太鼓を叩く時に、口をぽかんとあけて一見間が抜けて見えるけれど、これはバンドのメンバーの出しているあらゆる音を集中して聞いて、即座にドラムで対応しているからだと。
 最近は、特に女子は18代後半でグランド・スラムを制して、20代前半でピークを迎え、後半には引退してしまうケースが多い。最近ではないけれど、僕がテニスをはじめた80年代前半にボルグが27歳で引退した時には驚いたが、10代前半からジュニアとして世界ツアーなどを続けて一種のバーンアウト(燃え尽きる)したのも、後から事情を知って理解できた。伊達の27歳の引退は、テニス協会との軋轢に疲れたとか。
 思えば今回、伊達に苦しめられたビーナスも1997年にウィンブルドンで見た時は17歳のデビューしたての時だった。その時はベッカーが引退し、サンプラスの時代だった。そのサンプラスも2001年全米でインタビューを受けているのをみたが、引退まぎわだったような。
 やはり、ウィンブルドンがいい。というかテニスはウィンブルドンがテニスの聖地だと言える。コートの芝がいいし、その周りの風景、ボール・ボーイ(ガールも)のユニフォーム。だれが濃紺と濃緑のウエアを考え出したのだろうか。頭で思い浮かべると成立しないような組み合わせが、素晴らしい配色になっていて試合を盛り立てる。どことは言わないけれど他のグランド・スラムでは、ボール・ボーイのウエアや動きが爽やかではない。会場を名物のイチゴを食べながら散策する事も出来るし。
 しかしライン際のボールに対しての機械による判定については疑問もある。これはホークアイ(鷹の目)と言い、カメラとコンピュータによる自動ライン判定システムを使ってボールの動きと着地面を解析しCGで再現して判定するシステムです。これでライン際のボールの正確な判定が出来るわけですが、ボールがかすったくらいのインを選手が主張して、確かにホークアイでは合っていた事になるとしても、視認ではアウトとした線審のまたは主審の判定の方が正しいと思う時もあります。つまりかすったくらいのボールをインと判定するとしたらその線審の他のジャッジについて信頼がおけなくなります。そんなで機械の進出をあまり快く思わない中年アマチュア・テニス・プレーヤでした。