いのちの作法

 岩手県沢内村における福祉・医療・教育に関する取り組みを記録した映画『いのちの作法』を7月3日(土)JR札幌駅北のエル・プラザで見てきました。
 最初は高校の1期先輩が中心となって動いているので微力ながら勤務先でも宣伝して、ついでに奥さんと見てみようと思ったのですが、映画は良かったです。映画としての表現力というよりも描かれている内容ですね。
 まず現代の児童養護施設とは、両親のいない理由が死別などではなく、親による虐待によるものが多いんですね。すぐれて現代的な現象である事を知らされました。そのような児童たちに家族の温かさを知ってもらおうと奔走するスタッフが、この村の医療に貢献した医師の息子らしいのが興味深い。子どもたちに自分の味わったような寂しさを味わってもらいたくないという本音をもらしてた。関東から来た養護施設の子供たちが短期のホームステイを終えて帰って行く時、一番泣いていたのがこのスタッフだった。
 次に100歳の父親が施設にいる知的障害を持つ娘の将来を気遣うエピソードが印象に残る。この老年に至った娘さんのあどけない幸せそうな表情も。親と子と、そしてそれをつなぐこころある第三者の存在が、行政とは違う地点の共生の可能性を感じさせる。
 最後に映画のタイトルにもつながる、老人施設における「死への準備」の試みだ。どこでどんなふうに最後を送りたいか本人・家族に率直に考えを言わせる。なかなか触れられない、でも考えなければいけない事をオープンに語り合うことで生まれる覚悟や共通理解が重要何だろうと思う。
 登場人物と同様見ている僕も笑ったり泣いたりしながら、普段きちんと考えていないことなどを考えさせられる映画でした。