未公開作品

 昨日届いた『キネマ旬報』の「未公開作品の楽しみ方」にはBSで観た作品も載っています。その中のおススメに”Gone, Baby, Gone"が載っていましたがとても賛成できません。
 『ミスティック・リバー』や『シャッター・アイランド』のデニス・ルヘインの原作で、パトリック&アンジーというカップルの探偵シリーズの1作『愛しき者はすべて去りゆく』の映画化です。
 パトリック&アンジーについてはこのブログでも以前取り上げましたが、この映画はパトリックをケイシー・アフレックが演じています。監督はお兄さんのベン・アフレック。このケイシー=パトリックがさえない。ケイシーは『ジェシー・ジェームズの暗殺』ではヒーローに憧れる屈折した若者をまあ好演していたけれど、本人がヒーローを演じる器ではないような気がします。
 他の役者エド・ハリスモーガン・フリーマンはいいのだけれど、主役がミス・キャストでは映画は浮かばれない。児童虐待とその子供を秘密裏に養子にする刑事など暗くて深くて興味深い物語なのですが、主役(アンジー役も)がその重さを支え切れないので・・・
 実はそれよりも脚本が問題だと思い直しました。パトリックとアンジーとブッパのつながりが描けていないとケイシー・アフレックが強面で突っ張っていても納得できないんですね。ケイシー・アフレックの容姿や演技力以前に主人公の脚本的かつ映像的な裏付けがなくては俳優も何もできません。共同で脚本も担当した監督のお兄さんのせいですかね。