異能のピアニスト

 ジョージ・アダムズやデヴィッド・マレーなどのサックス奏者との共演アルバムが多いドン・プーレン(1944-95)が気に入っている。1964年のデビュー・当時はセシル・テーラー(1933‐)影響を受けた前衛ピアノと目されたらしいがよく聞くと前衛ではない。
その肘打ち奏法で前衛とされたが、どちらかというと肉体派、演歌的、長めのソロでじょじょに盛り上がる。次第に右手が裏がえる。CDで聞くとギャロン・ギャロンと聞こえる奇妙なクラスター的音塊(音階ではありません)が、映像を見ると右手を鍵盤の上で右側に転がしながら甲で鍵盤を叩いて(撫でて、転がして、弾いて)います。
 しかも背筋が伸びた、凛とした古武士のようなその佇まいも好ましい。
 ケニー・ドーハム作曲の「エル・マタドール」をアフリカン・ブラジリアン・コネクションというグループで演奏しています。
 http://www.youtube.com/watch?v=NpQQi4FgHLU&feature=related