ハイスミスの毒

 アラン・ドロンデニス・ホッパーマット・デイモンジョン・マルコビッチバリー・ペッパーという5人ンの俳優が演じたある一つの役とは?
 パトリシア・ハイスミスが造形した倫理観なき主人公トム・リプレーです。今朝偶然WOWWOWで『贋作』(原題Ripleu Under Water)を見ました。『太陽がいっぱい』でも殺した金持ちの息子に扮したトムは、この作品でもやむなく?死んだ画家に変奏します。この「やつし」というのがトムのキャラクターの重要なキーになるような気がします。
 今回『贋作』(Ripley Under Ground)では『プライベート・ライアン』や『エネミー・オブ・アメリカ』で出てきたカナダ出身の俳優のバリー・ペッパーリプリーを演じていました。どこか卑しさのあるけれど頭のいい二枚目というリプリーの性格・容姿にはあっているような。
 しかもこの作品では、大金持ちの娘であるトムの妻エロイーズが積極的にトムの犯罪に協力し、トムを嫌う自分の父親さえ亡き者にしようとするエンディングはファム・ファタールというか、犯罪カップルの誕生というか、(フィルム・)ノワール的にも面白い、頼もしいものでした。