ロード・ムービーの系譜

 しばらく前にアメリカ文化論の講義でロード・ムービーの系譜について調べてみた。以下列記して見ると。
 『ロリータ』(1961、S・キューブリック)原作では37歳のH・ハンバートが12歳の義理の娘ロリータを連れて1年間放浪した距離が4万7000キロ。ただ映画ではモーテルを主たる舞台とする部分は検閲のせいかカットしている。
 『俺たちに明日はない』(1967、アーサー・ペン)ニューシネマの始まりを記念するようなアンチ・ヒーローとアンハッピー・エンディングの物語。クライドと犯罪逃避行を続けるボニーが束の間実家の家族とピクニックをするシーンがいい意味でパセティック。
イージー・ライダー』(1969、デニス・ホッパーアメリカ文化論のために見直して、評価をし直した。でもこれは意図せぬ傑作というものだろう。
 『ファイブ・イージー・ピーセズ』(1970、ボブ・ラファエルソン)『イージー・ライダー』で注目されたJ・ニコルソンのドロップ・アウトもの。
 『バニシング・ポイント』(1971、リチャード・サラフィアン)ニューシネマの悼尾を飾る車の運び屋が消滅点(バニシング・ポイント)に向けて突っ走る。
 『ペーパー・ムーン』(1972、P・ボグダノビッチ)疑似的な親子ののんびりとしたロード・ムービー。
スケアクロウ』(1973、ジェリー・シャッツバーグ)ロード・ムービーはバディ・ムービーでもある。バディ(仲間、相棒)との対立と協調の旅。
アリスの恋』(1974、M・スコセッ)アメリカでは子供を連れて点々と旅する。『ここではないどこか』もそう。
 『パリ、テキサス』(1984、V・ヴェンダーズ)外国人の視点からのアメリカ。
 『テルマ&ルイーズ』(1991、R・スコット)女の友達同士の週末旅行が一転して、殺人犯の逃避行に。