美女再発見

 ウィリアム・ワイラー監督の『探偵物語』(1951)をスター・チャンネルで見る。時々、部分的に見ていました。近今回は主演カーク・ダグラス(35歳)の妻メアリーを演じるエレノア・パーカー(31歳)の美貌に圧倒されました。美人女優ウオッチャーとしては、最近フィルム・ノワールの美女ジーン・ティアニー(『ローラ殺人事件』、『舗道の終わる場所』、いずれもオットー・プレミンジャー監督)について書こうかなと思っていましたが、この30歳になったばかりのエレノア・パーカーの美貌は群を抜いていますね。
 というのは、『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)で見た時のエレノア・パーカーは、トラップ大佐(クリストファー・プラマー、36歳)の婚約者の男爵夫人を演じていて、ジュリー・アンドリュース(30歳)演じるマリアに結局は負けてしまう。この時45歳のエレノア・パーカーも美しいけれど、おばさんという感じでした。でも『探偵物語』でのエレノア・パーカーの美貌と気品は抜群のものがあります。
 『探偵物語』は舞台劇の映画化らしく舞台はニューヨーク西47丁目の第21警察署のみです。ただその限られた舞台の中で階段や部屋の移動、そしてカメラをうまく使っているのがワイラーの監督術と言えます。ここではマクロード刑事(カーク・ダグラス)の妻で、一度堕胎をしたことを夫が許すことができず、結局別れる事になります。
この映画には、原作の舞台からリー・グラント(25歳)とジョセフ・ワイズマン(33歳)が、それぞれ万引きと強盗の役で出ています。映画史的には、リー・グラントはこの後、赤狩りのブラック・リストに乗った事で、『夜の大捜査線』(1967)で復帰するまで半引退状態でした。ジョセフ・ワイズマンは『007 ドクター・ノオ』(1962年)でタイトル・ロールのノオ博士を演じ、その東洋的メークアップと無表情な演技で印象的でしたね。