あの頃ペニー・レインと

 2001年に上映されたAlmost Famous(邦題『あの頃ペニー・レインと』)をBSで観た。監督のキャメロン・クロウは15歳の頃にロック・ファンが高じて追いかけと新聞へロックの記事を書き始めたらしい。
 当時は伝説のバンド、オールマンBBなどは有名になりかけていた(Almost Famous)。映画はロックへの愛情と家族の物語、そして主人公の少年の成長を描く。
 主人公のウィリアム・ミラーを演じるパトリック・フュジットがこの映画の成功のカギだと思う。18歳の俳優が15歳の少年を演じるが、その素朴な愛らしさが、ロック・バンドのメンバー同士の軋轢、グルーピーバンド・エイドとも言うらしい)との生々しい関係の描写をほのぼのとしたものに変えている。
 ペニー・レインという呼び名のグルーピーを演じるのは名コメディエンヌ、ゴルディ・ホーンの娘ケイト・ハドソン。悪くないけれどパトリック・フュジットほどのナイーヴさと他のグルーピー(あまりいい言葉ではないのだが)を圧倒する魅力は感じられない。何か普通の娘という感じがする。
 ハイ・ティーンの少年が『ローリング・ストーン』誌の依頼で特集記事の原稿を書く。この少年はファンとジャーナリストの立場の矛盾に悩むが、同時に母親と姉との確執にも心を痛める。そしてウィリアム自身が好きになったペニー・レインとバンドのメンバーとの関係にも。
 いい映画はエンディングがうまい。ペニー・レインとの関係を立て直したいラッセル(バンドのギタリスト)はペニー・レインに聞いた住所に赴くがそこはウィリアムの家だった。傷ついたウィリアムと率直に話し合うラッセル。そして母と姉との和解。ペニー・レインの新たな出発。
 そこでは音楽と恋と家族と成長が心地よく描かれている。